
こんにちは。スリーカウント株式会社の代表取締役、鈴木です。
今回は「自社ECの売上を伸ばすためのサイト改善」をテーマに、自社ECで売上が伸び悩んでいるとき、どこを見直すべきか、そして、どう考えると改善の方向性が見えてくるのかについてお話ししていきます。自社でECを運営されている方は、次のような状況に心当たりがあるかもしれません。
- Shopify、MakeShop、カラーミーなどで自社ECを運営しているが、売上が思うように伸びない
- 楽天やAmazonでは売れていたのに、自社ECでは同じように数字が出ない
- 広告やSNSでアクセスは増えてきたが、購入につながらない(転換率が上がらない)
実際、私たちが自社ECのご相談を受けるときも、次のような言葉から話が始まるケースは少なくありません。「サイトは直したほうがいいとは思っているんですが、正直、どこを直せば売上に影響するのかが分からなくて……」
自社ECは、事業の資産として育てていける一方で、「何を変えれば売上が伸びるのか」が見えにくいと感じやすい領域でもあります。
楽天やAmazonなどのモールでは、ユーザーはすでに「買う前提」で訪れ、会員情報も登録済みのため、購入までのハードルが低く、比較的、転換率が出やすい構造になっています。
一方で自社ECでは、そもそも「買うつもりではない人」も多く訪れます。その中で、「ここで買って大丈夫か」「このサイトは分かりやすいか」といった点が見極められることになり、またショッピングカートも独自のため住所などの個人情報入力といったハードルもあります。
そのため、自社ECはモールと同じやり方で売上を伸ばそうとしても、うまくいかないことが少なくありません。同じ基準で数字を見てしまうと、「どこを直せば売上が伸びるのか」が見えにくくなってしまいます。
そこでこの記事では、「自社ECの売上を伸ばしたい」と考えたときに、まずどこを見直すべきなのか。サイト改善のヒントを、実際の支援現場での経験をもとにお話ししていきます。
この記事は本気の改善を目指す方向けです
ここでは、自社ECのサイト改善について、「なぜ売上が思うように伸びないのか」「どこに手を入れると、売上に変化が出やすいのか」といった点を、実際の改善現場での経験をもとにお話ししていきます。
サイト改善というと、デザインを整えたり、新しい施策を足したりといったことに目が向きがちですが、それだけで売上が伸びるケースは、正直あまり多くありません。売上が伸びている自社ECを見ていくと、必ず「先に見直されているポイント」があります。やや長文にはなりますが、読み進めていただくことで、「今の自社ECで、売上が止まっている原因はどこにありそうか」「サイト改善として、まず何から手を付けるべきか」が、少しずつ整理できるはずです。
売上を伸ばすためにサイト改善に取り組みたいと考えているEC事業者様・ご担当者様は、ぜひ最後までご一読ください。
本題の前に少し自己紹介
改めて、自己紹介をさせてください。私たちスリーカウント株式会社は、WEBマーケティングを専門とし、これまで数多くの自社ECサイトの改善・運用支援に携わってきました。
支援してきたジャンルは、アパレルや食品、日用品、メーカー直販ECなどさまざまですが、共通しているのは「自社ECを事業の柱として、本気で伸ばしたい」という企業様と向き合ってきた点です。
たとえば、
・広告費をほとんど変えず、5年連続で売上成長(年115〜120%)を続けている食品EC(=うなぎ通販)
・老舗メーカーの自社ECで、転換率の改善を中心に、半年で売上を1.3倍まで引き上げた事例
・アパレルECで、約10か月間で売上を20倍以上に伸ばした事例 ※詳細は以下リンク参照
こうした、サイト改善を軸に、継続的に売上が伸びていくケースを、私たちはこれまで数多く見てきました。
その中で一貫して大切にしてきたのは、「デザインを整えるかどうか」ではなく、「どこをどう改善すれば、売上につながるのか」を整理することです。
売上は、感覚や印象ではなく、「アクセス」「転換率」「客単価」といった数字の積み重ねで決まります。
その中で、「今の自社ECでは、どこに一番の伸びしろがあるのか」を見誤らずに改善していくことが、結果として、売上につながってきました。
本記事では、そうした実際の支援現場での経験をもとに、自社ECのサイト改善に取り組む前に、必ず押さえておいてほしい前提から、順を追ってお話ししていきます。
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売上を伸ばすために、自社ECのサイト改善で最初に知っておきたい大前提

自社ECの売上を伸ばすためにサイト改善に取り組む際、まず押さえておきたい前提があります。それは、通販サイトの売上は感覚や印象ではなく、はっきりとした構造で決まっているということです。
通販サイトの売上は、基本的に次の3つの要素の掛け算で成り立っています。
アクセス数 × 転換率(購入率) × 客単価
これは、楽天やAmazon、自社ECといった販売形態に関係なく、すべてのECに共通する考え方です。この前提を意識せずにサイト改善を進めてしまうと、が「どこを直した結果、売上が増えたのか」分からなくなり、改善が場当たり的になりやすくなります。
ここで重要なのは、アクセスを増やす施策・転換率を上げる施策・客単価を上げる施策は、それぞれ性質がまったく違うという点です。
広告を出せば、アクセスは増やせます。セット販売やアップセルを工夫すれば、客単価を上げることもできます。一方で、転換率が低い状態のままアクセスだけを増やしてしまうと、広告費だけが先に膨らみ、売上が思うように伸びないという状況に陥りがちです。
だからこそ、売上を伸ばすためのサイト改善では、まず転換率(購入率)に目を向けることが基本になります。
自社ECは「モールと同じ転換率」で考えない
売上を考えるうえで、もう一つ大切な前提があります。それは、自社ECを楽天やAmazonと同じ感覚で見ないことです。楽天やAmazonでは、
・すでに「買うつもり」で訪れているユーザーが多い
・会員登録や住所入力の手間がほとんどない
といった理由から、転換率が高く出やすい構造になっています。場合によっては、10%前後の転換率になることも珍しくありません。
一方で自社ECでは、
・そもそも「買うつもりではない人」も多く訪れる
・初回購入時は、入力のハードルが高い
という前提があります。そのため、モールと同じ転換率を基準にしてしまうと、「うちは全然ダメだ」と必要以上に自社ECを低く評価してしまいがちです。
自社ECで、まず現実的に目指したいのは、
-
転換率1%を超えること
-
その先で、2%前後を安定して出せる状態をつくること
です。実際、私たちが支援してきた中でも、0.5%前後だった転換率を、段階的なサイト改善によって1%、1.5%、2%近くまで引き上げていくことで、
広告費をほとんど変えずに、売上が1.3倍、2倍と伸びていくケースを何度も見てきました。
一気に2%まで跳ね上がるわけではありませんが、まずは1%を超えることを目標に、少しずつ改善を積み重ねていく。この考え方が、自社ECでは現実的です。
売上を伸ばすために、まず「転換率(購入率)」から見直す
こうした前提を踏まえると、売上改善のために、自社ECのサイト改善で最初に向き合うべきなのは、やはりアクセスではなく転換率です。
転換率には、
-
ユーザーが「買いづらい」と感じていないか
-
途中で不安や違和感を覚えていないか
-
目的の商品にスムーズにたどり着けているか
といった、サイト全体の親切さ・分かりやすさが、そのまま表れます。サイト改善とは、見た目を変えることそのものではありません。
「このサイトで買う理由」が、きちんと伝わっているかを見直す作業だと言い換えることもできます。
次の章では、こうした前提を踏まえたうえで、自社ECの売上を伸ばすために、サイト改善をどのような観点で見ていけばよいのかを、もう少し具体的に整理していきます。
自社ECサイト改善の全体像|売上改善の鍵は「違和感」に気づけるかどうか

自社ECサイトの改善というと、「どの施策を入れるべきか」「何から手を付けるべきか」といった話になりがちです。
ただ、私たちが実際の改善現場で最も重視しているのは、売上が伸び悩んでいる原因、つまりサイトの中にある「違和感」に気づけているかどうかです。
ここで言う違和感とは、デザインが古いかどうか、といった見た目の話ではありません。
-
なんとなく買いづらい
-
目的の商品にたどり着きにくい
-
途中で不安になる
-
「これで合っているのかな」と一瞬立ち止まってしまう
こうした、ユーザーが無意識に感じている引っかかりのことを指しています。自社ECの売上や転換率が伸び悩んでいるケースの多くは、この小さな違和感が、サイトのあちこちに積み重なっている状態です。
しかも厄介なのは、この違和感が「大きな不具合」として表に出てこないことがほとんどだという点です。
エラーが出るわけでもなく、ページが表示されないわけでもない。それでも、「なんとなく買わずに離脱する人」が増えていく。
私たちは、サイト改善とは、売上を止めているこの目に見えない違和感を、一つひとつ取り除いていく作業だと考えています。
違和感は「センス」ではなく、誰でも見つけられる
「違和感」と聞くと、「感覚的で、センスが必要なのでは?」と思われるかもしれません。ですが実際には、特別な才能は必要ありません。
-
自分でサイトを一通り使ってみる
-
周囲の人に実際に触ってもらう
-
「ここ、ちょっと分かりにくくなかった?」「一瞬、迷わなかった?」と聞いてみる
こうしたシンプルな確認だけでも、売上につながりにくくなっているポイントは、意外と簡単に見えてきます。
自社ECは、日常的にネット通販を使っている人であれば、誰でも「違和感を感じるユーザー側」に立てるサービスです。むしろ、運営側として長くサイトを見続けていると、当たり前になってしまい、売上を下げている違和感に気づけなくなるケースのほうが多い。
だからこそ、「ユーザーの立場で、売上を止めていそうな違和感がないかを見る」という視点が、サイト改善の出発点になります。
ただし、すべての違和感を見る必要はない
ここで一つ、重要な前提があります。違和感は、サイトのどこにでも見つかります。すべてを一度に直そうとすると、時間もコストもかかり、結果として「売上がなぜ伸びたのか分からない」状態になりがちです。
だから私たちは、違和感に気づくこと以上に、「売上に影響している違和感を優先して見ること」を大切にしています。判断基準はシンプルです。
-
多くのユーザーが必ず通る場所
-
購入判断に直接影響する場所
そこにある違和感は、ほんの小さなものであっても、転換率や売上に大きく影響します。逆に言えば、影響の小さい場所をどれだけ整えても、売上にはほとんど反映されません。
次の章では、私たちが自社ECサイトを改善する際に、特に売上や転換率に影響しやすい「違和感」が生まれやすい場所を、具体的に見ていきます。
すべてを一度に直す必要はありません。まずは、多くのユーザーが必ず通り、購入判断に影響しやすい箇所から確認していくことが重要です。
具体的には、次のようなポイントです。
-
買い物かご・購入フローまわり
-
商品ページの構成や見せ方
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ヘッダー・フッター・サイドメニューなどの導線
-
カテゴリページの作り方
-
よくある質問(FAQ)や不安を解消する情報設計
これらはいずれも、「ユーザーが必ず通る」「違和感が売上に直結しやすい」という共通点を持っています。
それでは、それぞれの箇所について、「どんな違和感が起きやすいのか」「どうやって見つければいいのか」を、実際の支援事例を交えながら整理していきます。
自社ECの売上を伸ばすために、どこから手を入れるべきかをイメージしながら、読み進めてみてください。
違和感が生まれやすい場所から見ていく|自社ECサイト改善ポイント5選

前章でお伝えした通り、自社ECサイトの改善では、「何を変えるか」よりも先に、どこで違和感が生まれているかを見ることが重要です。
とはいえ、違和感はサイトのあらゆる場所に存在します。トップページ、商品ページ、メニュー、フッター、テキスト表現…。
すべてを一度にチェックし始めると、どこから手を付ければいいのか分からなくなってしまいます。
そこで私たちは、サイト改善に取り組む際、違和感が生まれやすく、かつ売上に直結しやすい場所から順に確認していきます。
この章では、実際の支援現場でも必ずチェックしている、「違和感が特に出やすいポイント」を取り上げながら、
-
どんな違和感が起きやすいのか
-
どういう視点で見れば気づけるのか
を具体的に整理していきます。
①買い物かご・購入フロー|最初に見るべき違和感の集積ポイント
自社ECサイトの改善で、最初に必ず確認してほしい場所があります。それが、買い物かご(カート)から購入完了までのフローです。
理由はシンプルです。ここは、購入する人全員が必ず通る場所だからです。商品ページやトップページは、人によって見ないケースもあります。
しかし、買い物かごと購入フローは、「買おう」と思った人全員が通過します。
つまり、この場所にある違和感は、そのまま転換率の低下に直結するということです。
買い物かごの違和感は、小さくても致命的
買い物かごの違和感は、「エラーが出る」「動かない」といった分かりやすい不具合であることは、実はあまり多くありません。
多いのは、たとえば次のようなものです。
・項目が多く、途中で面倒になる
・表示されている文言が、なんとなく冷たい
・「このあと何をすればいいのか」が一瞬分からない
・余計な選択肢があり、判断に迷う
こうしたほんの一瞬の迷いが積み重なることで、「やっぱりやめておこう」という離脱につながっていきます。
代表的な例:メールマガジンのチェックボックス
支援現場でよく見る、分かりやすい例があります。多くのカートシステムでは、買い物かごの中に「メールマガジンを受け取る」というチェック項目があります。
ここで、ユーザーの立場になって考えてみてください。「メールマガジン、欲しいですか?」
おそらく、多くの人が「別に欲しくない」と感じるはずです。
ですが、これを少し言い換えるだけで、ユーザーの受け取り方は変わります。
・「お得な情報を受け取る」
・「割引・キャンペーン情報を受け取る」
同じメールマガジン登録でも、ユーザーが感じる意味はまったく違うのです。
実際に、この文言を変えただけで、登録率が大きく改善したケースもあります。これはテクニックというより、ユーザーの気持ちに寄り添えているかどうかの違いだと言えます。
自分では気づきにくいからこそ、他人の目を借りる
買い物かごの違和感は、運営側が何度も見ているうちに「当たり前」になってしまいがちです。だからこそ、
・社内の別部署の人
・家族や知人
・普段ネット通販をよく使う人
に、実際に操作してもらい、「ここ、ちょっと迷わなかった?」「一瞬、止まらなかった?」と聞いてみてください。
驚くほど、自分では気づかなかった違和感が見えてくるはずです。
買い物かごは「改善効果が出やすい場所」
買い物かご・購入フローには、
・多くのユーザーが必ず通る
・改善前後の差が数字に表れやすい
・小さな修正でも、転換率に影響しやすい
という特徴があります。だからこそ、自社ECのサイト改善では、最初にここから確認することを強くおすすめしています。
次は、同じように多くのユーザーが必ず通り、購入判断に大きく影響する「商品ページ」について見ていきます。
②商品ページ|「買うか迷う時間」が一番長い場所の違和感を見逃さない
商品ページは、自社ECサイトの中でもユーザーが最も長く滞在し、最も迷う場所です。
トップページやカテゴリページは、目的が定まらないまま「流し見」で通過する人も多いですが、商品ページまで来ている人は、すでに一定の興味を持っています。
だからこそ、この商品ページにある違和感は、そのまま「買わない理由」になりやすい。
私たちは、サイト改善に取り組む際、必ずこの商品ページを「売上を左右する重要なページ」として、ユーザー目線で細かく見直します。
楽天・Amazonと比べたときの違和感はないか
多くのユーザーは、日常的に楽天やAmazonで買い物をしています。
つまり、「ネット通販の基準」は、すでに楽天・Amazonで作られているという前提に立つ必要があります。
このとき、自社ECの商品ページが、
・情報の出方が違いすぎる
・見慣れない構成になっている
・どこを見ればいいか分かりにくい
状態だと、それだけで無意識の違和感が生まれます。よくあるのが、縦に長く、文章が延々と続く商品ページです。
一見、情報量が多く丁寧に見えるかもしれません。ただ、楽天やAmazonの商品ページを思い出してみてください。
多くの場合、
・画像をスライドしながら見ていく
・1枚ごとに情報が整理されている
・視覚的に理解できる流れになっている
という構成になっています。
この「慣れた見方」と違うだけで、ユーザーは無意識にストレスを感じてしまいます。
縦長LP形式より「横スライドで理解が深まる構成」が強い
商品ページの改善で、現場で差が出やすいのが、「見せ方の型」です。よくあるのが、縦に長い1枚のランディングページ形式で、文章と画像をずっと下に並べて説明していく形です。
丁寧に見える一方で、ユーザーにとっては、
・どこから見ればいいか分からない
・情報が頭に入りにくい
・途中で疲れて離脱しやすい
という状態になりがちです。一方、先程述べたように楽天やAmazonで売れている商品ページを見てみると、ほとんどのページが 「横スライドでめくりながら理解が深まる」 形になっています。
・画像を横にスライドしていく
・1枚目で興味を引き
・2枚目、3枚目…とめくるほど理解が深まる
・見ているうちに「欲しい理由」が積み上がっていく
この構成が当たり前のように作られています。そして重要なのは、写真の量です。売れているページほど、10枚、20枚と当たり前に用意されています。「そんなに必要なの?」と思うかもしれませんが、通販は“触れない・試せない”からこそ、写真の枚数と見せる順番が、売れる確率に直結します。
「おしゃれ」と「親切さ」は、両立できる
自社サイトの場合、「楽天みたいにしたくない」「おしゃれに見せたい」という声はよく聞きます。その気持ちは、とてもよく分かります。ただ、ここで誤解しないでほしいのは、おしゃれにすることと、親切にすることは両立できるという点です。
むしろ、
・めくるほど理解が深まる
・どこを見ればいいか迷わない
・写真で直感的に伝わる
こうした親切さがあるからこそ、ブランドの良さや世界観も伝わります。「おしゃれさを守るために、分かりにくくする」これが一番もったいない。売れる確率は確実に落ちます。
商品ページで見るべき「違和感」の視点
商品ページを見るときは、ぜひ次の視点で確認してみてください。
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最初の数秒で、何の商品か分かるか
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画像をめくるほど理解が深まる構成になっているか
-
写真の量が足りず、文章を読まないと分からない状態になっていないか
-
「不安になるポイント」が放置されていないか
商品ページは、「説明を足す場所」ではなく、迷いを減らす場所です。そして、迷いを減らす最短ルートは、文章を増やすことではなく、見せ方の型(スライド・枚数・順番)をつくるだと私たちは考えています。
次は、商品ページと同じく多くのユーザーが通り、「探しにくさ」という違和感が生まれやすい導線部分について見ていきます。
具体的には、ヘッダー・フッター・サイドメニューといったサイト全体の導線設計です。
③ヘッダー・フッター・サイドメニュー|ユーザーに探させてしまってはいけない
商品ページでどれだけ丁寧に作り込んでいても、そもそも目的の商品や情報にたどり着けない状態では、売上につながりません。
自社ECサイトの改善で、意外と見落とされがちなのが、ヘッダー・フッター・サイドメニューといったサイト全体の導線設計です。
ここにある違和感は、ユーザーにとっては「なんとなく使いづらい」運営側にとっては「気づきにくい」という厄介な性質を持っています。
「お客さんに探させていないか」を最初に疑う
サイト改善でまず意識してほしいのは、お客さんに“探させていないかという視点です。
たとえば、
・欲しい商品カテゴリがすぐに見つからない
・どこを押せば次に進めるのか分かりにくい
・メニューを開いた瞬間に情報が多すぎる
こうした状態は、ユーザーにとって小さなストレスになります。
通販サイトでは、この「小さなストレス」が積み重なると、回遊率が下がり、見られる商品数が減り、結果として転換率にも影響します。
おしゃれさを優先して「カテゴリを隠す」と、回遊率は大きく落ちる
特にファッション系ECでよく見かけるのがこのケースです。「ブランド感を出したい」「おしゃれに見せたい」「情報はできるだけ削ぎ落としたい」こうした理由から、トップやヘッダーからカテゴリリンクを隠してしまう設計です。
しかし、実際に検証してみると、この判断が売上にとってマイナスに働くケースは少なくありません。
実際、あるファッションECでは、
・カテゴリリンクを明示的に設置した場合
・おしゃれさを優先して非表示にした場合
を比較したところ、カテゴリを設置したほうが回遊率が約20%高くなるという結果が出ています。これはつまり、「おしゃれに見せたい」という作り手の意図と、「すぐに目的の商品に行きたい」というユーザーの意図が、ズレてしまっている状態です。
おしゃれであること自体は悪くありません。ただし、親切さが前提として成立していないおしゃれさは、売上につながらないというのが、私たちが現場で何度も見てきた事実です。
サイドメニューは「思い出させる装置」でもある
もう一つ、サイドメニューに関する具体例もお伝えします。ある菓子メーカーの自社ECでは、
サイドメニューに次のような改善を行いました。
-
商品名のテキストだけだったメニューに、各商品の写真(アイコン)を追加した
やったことは、それだけです。レイアウトを大きく変えたわけでも、デザインを刷新したわけでもありません。
その結果、回遊率が約5〜10%向上しました。なぜこれだけで数字が動いたのか。理由はとてもシンプルです。ユーザーは、
・ユーザーは商品名は覚えていない
・でも「見た目」は覚えている
というケースが圧倒的に多いからです。「〇〇の雫」という名前は忘れていても、「こんな形のお菓子」「こんな見た目だった」という記憶は残っている。サイドメニューに写真があることで、ユーザーは「探す」のではなく、「思い出して、選ぶ」状態に入れるようになります。この差が、回遊率として数字に表れます。
ヘッダー・フッター・サイドメニューで見るべき違和感
共通ナビゲーションを見るときは、次の視点で確認してみてください。
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行きたいカテゴリに“一瞬で”行けるか
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初めて来た人でも、構造が直感的に分かるか
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テキストだけに頼りすぎていないか
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「思い出させる工夫」が入っているか
ヘッダー・フッター・サイドメニューは、装飾の場所ではありません。回遊率を左右する“導線の心臓部”です。ここにある違和感を解消するだけで、
・商品ページに進む人が増え
・見られる商品数が増え
・結果として売上が伸びる
というケースは、決して珍しくありません。
次に見ていきたいのが、商品ページや導線と同じくらい重要でありながら、見落とされがちな「カテゴリーページ」です。カテゴリーページは、すでに興味を持っているユーザーが「この中から選ぼう」と立ち止まる場所でもあります。ここに違和感があると、商品ページに進む前に離脱してしまうケースも少なくありません。次は、このカテゴリーページで起きやすい違和感について見ていきます。
④カテゴリーページ|「具体的に探している人」に向けて作られているか
カテゴリーページは、サイト改善の文脈で後回しにされがちですが、実は売上にもアクセスにも影響しやすい非常に重要なページです。
商品ページほど注目されず、トップページほど議論されない。その結果、「テンプレのまま放置されている」ケースも少なくありません。
しかし実際には、カテゴリーページこそ、違和感がそのまま離脱につながりやすい場所でもあります。
カテゴリーページは「探している人」が最初に立ち止まる場所
カテゴリーページを訪れるユーザーは、
・すでにジャンルや目的がある程度決まっている
・「この中から選びたい」と思っている
という状態に近い人が多い傾向があります。つまりカテゴリーページは、「興味はあるが、どれを選べばいいかはまだ決まっていない」
という段階のユーザーが立ち止まる場所です。
このとき、
・何を基準に選べばいいのか分からない
・商品がただ並んでいるだけ
・自分に合うものがどれか判断できない
といった状態だと、「ちょっと見づらいな」「また今度でいいか」と、商品ページに進む前に離脱してしまいます。
テンプレのままのカテゴリーページが生みやすい違和感
改善の余地があるカテゴリーページに共通しているのは、
・商品一覧が表示されているだけ
・そのカテゴリの特徴や違いが説明されていない
・初めて来た人への配慮がない
という状態です。運営側からすると「カテゴリだから商品を並べれば十分」と感じやすいですが、
ユーザーにとっては、「結局、どれがいいの?」「自分は何を見ればいいんだろう?」という迷いが生まれやすい場所でもあります。
この“選ばせ方が設計されていない”状態が、カテゴリーページにおける典型的な違和感です。
カテゴリーページは検索流入の“受け皿”にもなる
カテゴリーページは、サイト内回遊だけでなく、検索結果から直接流入するページになることもあります。
たとえば、
・「〇〇 通販」
・「〇〇 おすすめ」
・「〇〇 種類」
といったキーワードでは、商品ページではなくカテゴリーページが表示されるケースも少なくありません。にもかかわらず、
・テキスト情報がほとんどない
・何が違うカテゴリなのか分からない
状態だと、せっかくの検索流入を活かせません。実際の支援現場でも、
検索キーワードを意識したカテゴリーページを少し作り込むだけで、検索流入や回遊が改善し、商品ページへの遷移が増えるケースは珍しくありません。
違和感を減らすために見るべきカテゴリーページの視点
カテゴリーページを確認する際は、次のような視点で見てみてください。
・このカテゴリは「どんな人向け」か、すぐに分かるか
・初めて来た人でも、選び方のヒントがあるか
・商品を比較・検討しやすい導線になっているか
ここでも重要なのは、情報を増やすことではなく、迷いを減らすことです。
「この中から選べば大丈夫そう」そう感じてもらえる設計になっているかどうか。
カテゴリーページは、商品ページに進む前の“安心材料”をつくる場所だと考えると、見るべきポイントが整理しやすくなります。
⑤よくある質問(FAQ)|不安が残ると、静かに離脱を生む
自社ECサイトの改善で、多くの方が「後回し」にしがちな場所があります。
それが、よくある質問(FAQ)ページです。実はこのFAQ、アクセス解析を見てみると、購入者ほど通っているケースが非常に多い場所でもあります。
にもかかわらず、
-
テンプレートのまま放置されている
-
情報が古い
-
ユーザーの疑問とズレている
といった状態のサイトも少なくありません。
FAQは「困った人のためのページ」ではない
FAQというと、
・問い合わせを減らすためのページ
・たまに見る人のための補足情報
そんな位置づけで考えられがちです。ですが実際には、FAQは「購入を迷っている人が、最後に確認するページ」です。
つまり、
・買うかどうか、ほぼ決めている
・でも、ちょっとした不安が残っている
そんな状態のユーザーが、「答えがあれば買う」タイミングで訪れています。
ここで違和感があると、そのまま静かに離脱してしまいます。
FAQで起きやすい「違和感」の正体
FAQページでよく見かける違和感には、共通したパターンがあります。
たとえば、
・専門用語が多く、結局よく分からない
・実際によく聞かれる質問が載っていない
・回答が抽象的で、不安が解消されない
・情報が古く、今の運用と合っていない
運営側にとっては「書いてある」状態でも、
ユーザーにとっては「答えになっていない」ことが多いのです。
特に、
・配送
・返品・交換
・賞味期限や保存方法
・ギフト対応
・定期購入の解約・変更
このあたりは、購入を左右する不安が集中しやすいポイントです。
「FAQに書いてある」だけでは足りない
重要なのは、FAQが存在しているかどうかではありません。その不安を、きちんと消せているかです。
書き起こしの中でも触れられていましたが、
売れているサイトほど、
・不安を先回りして潰している
・かなり丁寧に説明している
・「そこまで書く?」というレベルまで書いている
という共通点があります。そして本来、「必ず出てくる不安」は、FAQページだけに閉じ込める必要はありません。
商品ページの中で解消できる不安は、商品ページ内で解消してしまう。これも、違和感を減らす大切な考え方です。
FAQは「売るためのページ」だと考える
FAQを、
・問い合わせ削減のため
・仕方なく用意するページ
として扱うと、サイト改善の効果はほとんど出ません。
一方で、
・購入前の最後の不安を消す場所
・背中をそっと押すためのページ
として設計すると、転換率に確実に影響してきます。アクセス解析で、
・購入者がどのFAQを見ているか
・離脱者がどこで止まっているか
を一度確認してみてください。
そこには、「まだ解消しきれていない違和感」が、かなり分かりやすく残っているはずです。
ここまで見てきたように、自社ECサイトの改善は、
・目立つところを変えること
・新しい施策を入れること
よりも先に、「ユーザーが違和感を感じやすい場所」を、丁寧に見直すことが、何より重要です。
次は、ここまでの内容を踏まえて、サイト改善でよくある失敗パターンを整理していきます。
多くのECサイトが、「良かれと思って」やってしまっていることの中に、改善が進まない原因が隠れているケースも少なくありません。
自社ECサイト改善でよくある失敗パターン

ここまで、「違和感」という視点で自社ECサイトのどこを見るべきかを整理してきました。
実は、売上が伸び悩んでいるECサイトの多くは、「何もしていない」のではなく、ズレた方向で一生懸命改善してしまっているケースが非常に多いです。
ここでは、実際の支援現場でよく見かける自社ECサイト改善の失敗パターンをいくつか紹介します。
失敗例① デザインの話から入ってしまう
サイト改善の相談で、最初に出てきやすいのがこの話です。
「デザインが古い気がする」「もっと今っぽくしたい」「おしゃれにしたほうが売れるのでは」
もちろん、デザインをきれいにすることや、UIを整えること自体は大切です。ただし、それが最初の一手になってしまうと、改善の効果が出にくくなります。
なぜなら、
・どこに違和感があるか整理されていない
・何が売上を止めているか分かっていない
状態で見た目だけを変えても、「雰囲気は良くなったけど、数字は変わらない」という結果になりやすいからです。
失敗例② すべてを一度に直そうとする
違和感に気づき始めると、「ここも気になる」「あそこも直したい」「ついでに全部変えよう」となりがちです。
ですが、これは非常に危険な進め方です。なぜなら、
・何が良くなったのか分からない
・数字の変化と改善内容が紐づかない
・結果、改善の判断ができなくなる
という状態に陥るからです。先程もお伝えした通り、優先すべきは「多くの人が通る場所」です。
すべてを直すのではなく、影響が大きいところから、順に手を入れる。
これができていないと、サイト改善は長続きしません。
失敗例③ 自分たちの「こだわり」を優先してしまう
特に多いのが、このパターンです。「世界観を崩したくない」「ブランド的にこれはやりたくない」「おしゃれじゃないから入れたくない」
その気持ち自体は、とてもよく分かります。ただ、これまでの中でも繰り返し出てきていた通り、売れることと、おしゃれであることは両立できますが、別軸です。
ユーザーにとっては、
・すぐに探せる
・迷わず進める
・不安が消える
ことのほうが、圧倒的に重要です。こだわりを優先してしまった結果として、
・カテゴリ導線が分かりづらい
・商品ページが読みづらい
・情報が足りない
といった違和感が残り、売上を取りこぼしてしまうケースが少なくありません。
失敗例④ 楽天・Amazonと比べることを避けてしまう
「自社ECだから、モールとは違う」この考え方も、よくある落とし穴です。確かに、
・デザイン
・ブランド表現
・世界観
は、自社ECならではの価値です。ただし、ユーザーの購買体験そのものは、モールで鍛えられています。
・スライドでの商品理解
・情報の出し方
・不安の消し方
これらは、楽天やAmazonが何年もかけて最適化してきたものです。そこから大きく外れた体験を提供すると、無意識の違和感が生まれやすくなります。
失敗例⑤ アクセスを増やすことを先に考えてしまう
最後に、非常に多い失敗がこれです。「広告を増やそう」「SNSを頑張ろう」「まずは人を集めよう」。一見、間違っているようには見えません。
実際、「アクセスを増やすこと」は売上の要素の一つでもあります。ただし、自社ECの場合、ここから手を付けてしまうと失敗しやすいというのが現実です。
なぜなら、サイトに「買いづらさ」や「迷い」「不安」が残ったまま人を集めても、多くのユーザーはそのまま離脱してしまうからです。
結果として、
・広告費だけが増える
・思ったほど売上は伸びない
・「広告が合わない」「SNSは意味がない」という結論になる
こうした状況に陥りやすくなります。特に自社ECは、楽天やAmazonのように「買う前提」で訪れる人ばかりではありません。そのため、
・少し分かりづらい
・少し不安になる
・少し面倒に感じる
この「少し」の積み重ねが、想像以上に転換率を下げてしまいます。アクセスを増やす前にやるべきなのは、
「今来ている人が、ちゃんと買える状態かどうか」を確認することです。
-
商品は迷わず探せるか
-
購入までの流れで引っかかりはないか
-
不安になるポイントが放置されていないか
ここが改善されていない状態でアクセス施策に力を入れると、改善の効果は見えにくくなります。
自社ECサイトの改善では、「人を増やす前に、買いやすくする」この順番を間違えないことが、非常に重要です。
失敗を避けるために、最初にやるべきこと
ここまでの失敗パターンに共通しているのは、
・何を直すべきかが整理されていない
・ユーザーの違和感が起点になっていない
という点です。自社ECサイトの改善は、
・派手な施策
・新しいツール
・流行りのノウハウ
から始めるものではありません。まずは、「ユーザーが、どこで立ち止まっているか」「どこで不安を感じているか」
そこに目を向けること。それができれば、売上を伸ばすために、次に何をすべきかは、自然と見えてきます。
まとめ
自社ECサイトの売上改善というと、新しい施策やノウハウを探したくなりがちですが、本当に重要なのは、もっと手前の部分にあります。それは、「ユーザーがどこで違和感を感じているか」に気づけているかどうかです。今回お伝えしてきたように、
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買い物かご・購入フロー
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商品ページ
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ヘッダー・フッター・サイドメニュー
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カテゴリページ
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よくある質問(FAQ)
これらはすべて、多くのユーザーが必ず通り、購入判断に直結しやすい場所です。ここに小さな違和感が残っていると、なんとなく不安になる、少し面倒に感じる、他と比較しようとして離脱する。といった行動が積み重なり、結果として転換率が伸び悩んでしまいます。
逆に言えば、特別な施策を増やさなくても、「違和感を一つずつ取り除く」だけで、売上が変わるケースは少なくありません。そして、ここで大切なのは、すべてを一気に完璧にしようとしないことです。まずは今のサイトを、ユーザー目線で見直す、多くの人が通る場所から確認する、「ここ、少し分かりづらくないか?」を拾っていく。
この積み重ねが、自社ECサイト改善の一番堅実で、再現性の高いやり方だと私たちは考えています。もし今、
「何から直せばいいか分からない」
「数字は見ているけれど、改善点が整理できない」
「広告や施策の前に、サイト自体を見直したい」
そんな状態であれば、一度、第三者の視点でサイトを見直してみるのも一つの選択肢です。私たちは、施策の押し売りではなく、「今のサイトにどんな違和感がありそうか」「どこから手を付けるべきか」を整理するところからお手伝いしています。「本格的に依頼するかどうかは、その後で考えたい」そんな段階でも問題ありません。
もしご興味があれば、30分無料コンサルティングで、今の状況を一度整理してみてください。
今やっていることを否定するためではなく、これから何を足せばいいのか、何をやらなくていいのかを、一緒に整理する時間になればと思っています。

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