
「求人を出しても応募が来ない」「以前より明らかに採用にお金がかかるようになった」。
学習塾を経営されている方、採用を担当されている方であれば、こうした悩みは日に日に大きくなっているのではないでしょうか。
すでにお気づきの方もいるかもしれませんが、教員志望者の減少、大学生の働き方の変化、塾業界の競争激化など、塾講師の採用が難しくなっている背景には、一過性ではない根本的な要因があります。ただ、難しい問題だからといって打つ手がないわけではありません。
この記事では、実際の採用支援で成果が出た学習塾の事例をもとに、応募数の改善・採用コストの削減につながった具体的な方法と、採用した講師の定着率を上げるための考え方を解説します。アルバイト講師と正社員(教室長)では採用の難易度も打ち手もまったく異なるため、それぞれに分けて整理しました。
「とりあえず求人を出してみたけど、なかなかうまくいかない」という方にとって、必ず次の一手を考えるヒントになるはずです。
この記事は本気の改善を目指す方向けです
この記事を書いているスリーカウントについて
改めて、私たちスリーカウント株式会社について少しだけお話しさせてください。
私たちは、WEBマーケティングを専門とし、これまで全国で500社以上の集客・採用支援に携わってきました。
採用支援の分野では、Indeed・求人ボックス・スタンバイの公式代理店として、求人原稿の作成から媒体運用、採用サイトの制作までを一気通貫でサポートしています。また、自社開発の採用サイト無料作成サービス「フエルーボ」の提供を通じて、中小企業が自社で採用の仕組みを持てる環境づくりにも取り組んでいます。
学習塾の採用支援においても、フランチャイズ展開する塾のATS構築や、大手予備校の採用サイトリニューアル・口コミ対策など、塾業界ならではの課題に向き合ってきた実績があります。
本記事では、そうした現場での経験をもとに、「どうすれば応募が集まり、採用がうまくいく状態をつくれるのか」という視点でお伝えしていきます。まずは、塾講師の採用が難しくなっている背景から見ていきましょう。
なぜ今、学習塾の講師採用は難しいのか

塾講師の求人を出しても思うように応募が集まらない、以前と同じやり方では人が来なくなった、と感じている方は多いのではないでしょうか。
実際のところ、塾講師の採用が難しくなっているのは、自社の条件や媒体だけの問題ではなく、業界全体に共通する背景があります。市場の背景と、多くの塾が見落としている大前提を整理していきます。
塾講師の採用難が続く3つの背景
塾講師の採用が年々厳しくなっている原因は、大きく分けて3つあります。
1つ目は、教員志望者の激減です。
学習塾で正社員として働く人材のルーツをたどると、「もともと教員を目指していた層」が大きな割合を占めています。教員採用試験を受けて公務員教員にならなかった人が、塾業界に流れてくるという構図です。
ところが、この教員志望者そのものが大幅に減っています。文部科学省の発表によると、2025年度の公立学校教員採用試験の競争倍率は全体で2.9倍と過去最低を更新しました(出典:文部科学省「令和6年度公立学校教員採用選考試験の実施状況」)。小学校に至っては2.0倍です。かつては5〜6倍あった倍率がここまで下がったということは、そもそも「先生になりたい」と思う人の母数が減っているということです。
教員を目指す人が減れば、その「受け皿」として機能してきた学習塾への人材供給も当然細ります。塾講師の正社員採用が難しくなっている最大の要因は、ここにあります。
2つ目は、大学生の働き方の多様化です。
塾講師のアルバイトといえば、大学生にとって定番の選択肢でした。しかし、今の大学生が選べる働き方は以前とは比較にならないほど広がっています。
私たちが採用支援の現場で見ている限り、大学生の選択肢はSNSでの収益化、長期インターン(給料が出るケースも増えています)、フリーランス的な働き方、さらには在学中の起業など、多岐にわたります。以前であれば「飲食店か塾講師か」という二択に近かった大学生のアルバイト事情は、完全に変わりました。
加えて、大学生自身が「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する傾向が強まっており、授業準備や予習に時間がかかる塾講師よりも、すぐに稼げる仕事を選ぶケースも増えています。さらに、最低賃金の上昇で他業種のアルバイト時給も上がっており、塾講師の時給面での優位性は以前ほどではなくなっています。塾講師は時給だけ見れば高水準ですが、準備時間を含めた「実質時給」で比較されると、他のアルバイトに負けてしまうという現実があります。
3つ目は、塾業界の人競争激化です。
帝国データバンクの調査によると、2025年の学習塾の倒産件数は46件で過去最多を更新しました(出典:帝国データバンク「学習塾の倒産動向(2025年)」)。倒産の主な要因のひとつに「講師確保難による人件費高騰」が挙げられており、教育熱の加熱などもあり限られた講師を他塾と取り合う状況が業界全体で起きています。中小規模の塾にとっては、採用の難易度が年々上がっているのが実情です。
こうした環境の中では、「求人を出せば誰か来る」という時代はとっくに終わってしまっているとも言えるのです。では、この厳しい市場の中で、どこに手を打てば採用につながるのでしょうか。
採用の成功は、原稿の中身で9割決まる
以前はタウンワークに出せばある程度応募が来た時代もありました。今はIndeedや求人ボックスなどといった媒体が主流になり、「次はどの媒体に出そうか」と考える方が多いのですが、正直な話これだけでは状況は変わりません。
採用の成果は、シンプルな公式で表すことができます。
採用人数 = アクセス数 × 応募率 × 採用率
この3つの変数のうち、アクセス数を増やすには広告費がかかります。採用率は面接や社内体制の話なので、求人の段階ではコントロールしにくい。では、最もレバレッジが大きいのはどこか。応募率、つまり求人原稿の質です。
私たちがこれまで多くの採用支援を行ってきた中で確信しているのは、媒体で採用が成功するかどうかは、原稿の中身で9割以上決まるということです。たとえば同じIndeedという媒体を使っていても、原稿次第で応募数は何倍も変わります。
ここで押さえておきたいのが、求職者の心理です。求職者はみなさんの塾のことを知りませんし、正直なところ興味もありません。無数の求人の中からクリック1つで離脱できる状態にあります。この「知らないし、興味もない」という前提に立って、まず相手の頭の中にある不安や疑問を受け取り、それに答えてから自社の魅力を伝えるというコミュニケーションの順番が、応募率を上げるための本質です。
「どの媒体に出すか」よりも「何を、誰に向けて、どう書くか」。この視点を大前提として持った上で、次の章からアルバイト・正社員それぞれの具体的な採用戦略を見ていきましょう。
アルバイト講師の採用を成功させるポイント

アルバイト講師の採用は、正しい手順を踏めば成果を出しやすい領域です。ただし「なんとなく求人を出す」だけではうまくいきません。大学生の行動パターンを理解し、それに合わせた打ち手を取ることが前提になります。
塾講師アルバイトの採用市場を理解する
結論から言うと、アルバイト講師の採用難易度は正社員と比べれば低いです。
理由はシンプルで、1校舎あたりの募集人数が2〜3名程度と少なく、短期募集が中心になるからです。常に大量のライバル企業と戦い続ける必要はありません。つまり、やり方さえ間違えなければ十分に採用できる領域です。
では、今の大学生はどうやってアルバイトを探しているのか。以前はタウンワークがコンビニに置いてあって、そこから探すのが一般的でした。しかし今はほとんどの学生がスマホで「塾講師 アルバイト」と検索して探すという行動をとります。つまり、Indeed・求人ボックス・Google仕事検索といった検索連動型の媒体との相性が非常に良いのです。
私たちの支援実績でも、アルバイト講師であれば応募単価1万円以内で採用につなげられているケースが多く、正社員採用とはコスト感覚がまったく違います。もうひとつ、自塾の卒業生がそのままアルバイト講師になるルートもありますが、これだけでは人数が足りないケースが多く、やはり検索経由の集客が必要になります。それでも応募が集まらない場合は、求人の見せ方を見直す余地があります。
ターゲットを絞った原稿が応募率を変える
アルバイト採用で最も効果的なのがターゲットを細かく絞ることです。
たとえば、塾の近くに特定の大学があるなら、「〇〇大学の学生さんが多数活躍中」と書くだけで反応はまったく変わります。大学名が入っているだけで「自分向けの求人だ」と認識されやすくなるからです。
これは求人原稿に限った話ではなく、マーケティングの基本でもあります。「誰にでも当てはまる」ように書かれた原稿は、結局誰にも刺さりません。ターゲットを絞れば絞るほど、その人にとっての「自分ごと感」が増し、応募につながりやすくなります。
では、ターゲットを絞った上で、原稿に何を書けばいいのか。求職者が応募を決断するためには、次の5つが明確に伝わっている必要があります。
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どんな塾なのか(規模・実績・方針)
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どんな環境で働くのか(勤務時間・場所・時給)
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どんな人と一緒に働くのか(先輩講師の雰囲気)
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具体的に何をやるのか(担当科目・授業形式・1日の流れ)
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自分にとってどんなメリットがあるのか(スキルアップ・就活への活用)
たとえば、個別指導塾であれば「1対2の指導なので、生徒一人ひとりに向き合える」、集団指導塾であれば「15名前後のクラスで、授業を組み立てる力が身につく」といった形で、自塾の授業スタイルに合わせて具体的に書くと、求職者が働くイメージを持ちやすくなります。
また、とくに大学生にとっては「学業と両立できるか」が最大の関心事です。「週1日からOK」「テスト期間はシフト調整可能」「学業優先で大丈夫です」といった情報は、目立つ位置に書くべきです。
もうひとつ重要なのが、大学生が抱く不安への対応です。「うまく教えられるか不安」「未経験でも大丈夫か」といった声は非常に多い。「未経験からスタートした先輩がほとんどです」「研修があるので安心してください」といった情報を目に入る位置に書いてあげるだけで、応募のハードルは大きく下がります。
Indeed・求人ボックスを活用した検索対策
大学生がスマホで検索して仕事を探す以上、検索結果に自社の求人が表示されることが採用の入り口になります。ここで有効なのがIndeedや求人ボックスといった検索連動型の求人媒体です。
Indeedの特徴は、求職者が検索した結果に対して求人が表示される仕組みのため、「塾講師 アルバイト 〇〇市」のように検索している能動的な求職者にリーチできる点にあります。CMの認知度も高く、大学生の利用率が高い媒体です。
ここで忘れてはいけないのが、他社がどんな原稿を出しているかを把握することです。求職者は複数の求人を比較検討しています。自社の原稿だけを見て「良い内容だ」と思っていても、競合がもっと具体的で魅力的な原稿を出していれば、そちらに応募が流れます。
実際にIndeedで「塾講師 アルバイト」と検索してみてください。上位に出てくる求人の中で、思わずクリックしたくなる原稿とそうでない原稿の違いが見えてくるはずです。その違いこそが、応募率の差につながっています。
また、自社で採用サイトやATS(採用管理システム)を持っている場合は、Indeed・求人ボックス・Google仕事検索に求人情報が自動的に連携される仕組みを整えることで、広告費をかけずに検索経由の応募を獲得することもできます。私たちが支援した学習塾でも、この仕組みを構築したことで採用コストを大幅に削減できた事例があります(詳しくは事例の章で紹介します)。
求人原稿の書き方のコツについてはぜひこちらもご覧ください。
▶ Indeed求人での”書き方の落とし穴”とは?
▶ 求人ボックスの運用で応募を増やすには?
正社員(教室長)採用が難しい本当の理由

正社員(教室長)の採用には、アルバイトとは質の異なる難しさがあります。単に応募が少ないだけではなく、採用しても辞退される、入社しても続かないといった問題が絡み合っています。ここからは、その本当の原因と突破口に踏み込んでいきます。
アルバイトから正社員に引き上がらない本当の問題
学習塾における正社員採用の最も順当なルートは、アルバイト講師として働いている人が、そのまま正社員(教室長候補)になるというパターンです。すでに塾の雰囲気も仕事内容も理解しているため、企業側にとっても本人にとってもミスマッチが起きにくく、採用率はほぼ100%に近くなります。
しかし実際には、このルートがうまく機能しなくなっています。
理由は明確で、アルバイトの大学生が、正社員として働いている教室長の姿を間近で見て「こうはなりたくない」と感じてしまうからです。学習塾の勤務時間は基本的に夜型で、授業が終わるのは21時〜22時、業務終了が23時を過ぎることも珍しくありません。大学生の立場からすれば、アルバイトとして数時間働く分には問題なくても、「毎日これを続けるのか」と思ったときに正社員への道を選ばなくなるのです。
加えて、前章で触れたとおり教員志望者そのものが減っています。かつては「教員採用試験に落ちたから塾で働く」という人が一定数いましたが、今はそもそも教員を目指す人自体が減っているため、このルートからの供給も細っています。
新卒候補者は「大学生アルバイトからの就職」と「教員志望の滑り止め」の2パターンでしたが、どちらも縮小しているというのが現状です。結果として、中途採用の強化が避けられなくなっています。
口コミが採用を壊すスパイラル
正社員採用でもうひとつ見逃せないのが、口コミが採用を壊すスパイラルです。
学習塾の正社員は夜型勤務が基本です。この働き方に不満を持った社員が退職したり、在職中であっても口コミサイトやSNSにネガティブな書き込みをしたりすることがあります。そして、その口コミを見た求職者が「この会社はやめておこう」と判断し、応募しない。あるいは内定を出しても辞退される。
私たちが支援したある大手予備校では、内定を出しても入社に至る割合が50%にとどまっていました。つまり、せっかく選考を通過させても2人に1人が辞退している状態です。その主な原因を分析したところ、口コミサイトでの評価の低さが大きく影響していることがわかりました。
このスパイラルの根本にあるのは、「夜遅いのは塾だからしょうがない」という内部の意識です。その”しょうがない”がスパイラルを回し続けている原因であり、一度回り始めると自力では止めにくい点が厄介です。
労働環境に不満がある → 退職者が口コミを書く → 口コミを見て応募が減る → 人手不足で残った社員の負担が増える → さらに不満が溜まり退職・口コミが増える
口コミ対策は「採用のテクニック」ではなく、正社員採用の土台そのものに関わる問題だと認識すべきです。競合の大手塾の中には、Googleマップの口コミを本社一括ではなく校舎ごとに管理し、悪い評価が全体に波及しないようにする対策を講じているところもあります。放置していると相対的にますます不利になっていきます。
発想の転換:「異業種×夜型人材」というで原稿をつくる
ここまで読むと「正社員採用はもう打つ手がないのでは」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。むしろ、多くの塾がまだ手をつけていない採用の「穴場」があると私たちは考えています。
それが、異業種からの中途採用です。
多くの学習塾が正社員を中途で採用しようとするとき、無意識に「教育業界の経験者」や「他の塾からの転職者」を探します。しかし、ここはレッドオーシャンです。教員志望者が減っている以上、同業他社から奪い合っても全体のパイは増えません。
発想を変えてみましょう。学習塾の勤務時間は昼過ぎ〜夜です。これは一般的な会社員にとっては「デメリット」に映りますが、夜型の生活リズムの人にとってはむしろ「メリット」になります。朝はゆっくりできるし、通勤ラッシュに巻き込まれることもない。午前中は自分の時間として使えます。
そして、社会人になってから「人に教える仕事がしたい」と思う層は、実は想像以上に存在します。学生時代に先生に助けられた経験がある人、教えることに情熱はあるけど教員免許を取る道は選ばなかった人。先生になりたいと思う人の原点は「自分が先生に助けてもらった経験」にあり、その気持ちは教員にならなくても消えるものではありません。こうした人たちは、潜在的に「塾講師」を検索している可能性があります。
大事なのは、この層に向けて「ここで働く自分」を具体的に想像させることです。「教育業界未経験OK」と書くだけでは足りません。
たとえば、「教育業界は未経験だけど、人に教える仕事に興味がある。でも夜が遅いのは正直ちょっと…」という求職者の頭の中を想像してみてください。この人に対して、いきなり塾の教育理念を語っても響きません。まず「夜型勤務は不安ですよね」と受け取った上で、「でも朝はゆっくり。通勤ラッシュもなし。昼までは自分の時間です」と伝える。その上で、「未経験から教室長になった社員のインタビュー」や「入社後の研修制度」を見せていく。この順番が、異業種の潜在層を動かすカギになります。
自社が手をつけていないということは、競合もまだ手をつけていない可能性が高い。ここに原稿を仕込むだけで、他の塾が獲得できていない人材にリーチできる余地があるのです。
ここまで、アルバイトと正社員それぞれの採用戦略を解説してきました。両者の違いを改めて整理しておきます。
| アルバイト講師 | 正社員(教室長候補) | |
|---|---|---|
| 主なターゲット | 大学生 | 教員志望経験者・異業種からの転職者 |
| 採用難易度 | 比較的低い(短期・少人数募集) | 高い(口コミ・労働環境が影響) |
| 応募単価の目安 | 1万円以内 | 数万円〜(初期は高め) |
| 有効な媒体 | Indeed・求人ボックス・塾講師専門媒体 | Indeed+採用サイト+口コミ対策 |
| 成功のカギ | ターゲットを絞った求人の見せ方 | 異業種層への発想転換+労働環境の見え方改善 |
※上記は弊社スリーカウントの支援実績をもとにした目安です。地域や時期によって変動します。
採用成功事例のご紹介

ここまで、学習塾の講師採用における市場背景と、アルバイト・正社員それぞれの課題を整理してきました。「じゃあ実際にどうやって成果を出した塾があるのか」が気になるところだと思います。この章では、私たちスリーカウントが採用支援に携わった2つの学習塾の事例を紹介します。
事例A:フランチャイズ塾が採用を一元管理して応募単価1万円台を実現
1つ目は、全国にフランチャイズ展開している学習塾の事例です。
【課題】:FC各オーナーがバラバラに採用活動をしていた
この塾は直営校舎とフランチャイズ校舎の両方を持っています。直営校舎のアルバイト講師不足も課題でしたが、より深刻だったのはフランチャイズ側の採用でした。
フランチャイズの場合、各校舎のオーナーがそれぞれ独自に求人を出します。タウンワークに出すオーナーもいれば、Indeedに出すオーナーもいる。原稿の内容もバラバラで、本部が伝えたい塾の魅力と、各オーナーが書く原稿の内容にズレが生じていました。結果として、ブランドとしての統一感がなく、求職者から見たときに「この塾はどういう塾なのか」が伝わりにくい状態になっていたのです。
さらに、各オーナーが個別に求人媒体と契約するため、コストも分散していました。Indeedのアカウントも複数に分かれてしまい、運用効率が悪い状態でした。
【施策】:本部主導でATS(採用管理システム)を構築
私たちが提案したのは、本部が一元管理できるATS(採用管理システム)を構築し、全校舎の求人を集約するというアプローチでした。
具体的には、自社の採用サイト構築ツールを使い、各校舎の募集要項を自動的に生成できる仕組みを作りました。たとえば「浜松 塾講師 アルバイト」のようなキーワードで検索されたときに、Indeed・求人ボックス・Google仕事検索に自動的に求人が表示されるようにしたのです。
これにより、各オーナーが個別に業者とやり取りする手間がなくなり、本部が塾の共通した魅力を原稿に反映できるようになりました。ブランドとしてのコミュニケーションが統一され、求職者から見たときの信頼感も向上しています。
【結果】:応募単価1万〜1.5万円で講師採用に成功
直営校舎のアルバイト講師については、応募単価1万〜1.5万円で安定的に採用できる状態になりました。フランチャイズ側もATS導入によりIndeedアカウントを一元管理できるようになったことで、手数料ベースでのコスト削減にもつながっています。
この事例のポイントは、「いい媒体を見つけた」という話ではなく、採用の仕組みそのものを整えたことで、ブランドの見え方とコスト効率の両方が改善したという点です。
事例B:大手予備校が正社員の採用難を打開した方法
2つ目は、複数の校舎を展開する大手予備校の事例です。
【課題】:正社員の応募数・内定承諾率がともに低迷
この予備校が抱えていた課題は、前章で解説した正社員採用の問題がそのまま当てはまるケースでした。
新卒採用では、エントリーシートの提出は一定数あるものの、選考に進む人数が少なく、内定を出しても入社に至る割合は50%程度にとどまっていました。中途採用も応募はあるものの、書類通過後の内定率が高すぎる状態、つまり「選べるほど応募が来ていない」ことを示していました。
原因を分析すると、いくつかの問題が見えてきました。
まず、口コミサイトでの評価が競合と比較して低い状態でした。「仕事量が多い」「夜が遅い」といったネガティブな書き込みが目立ち、これが内定辞退に直結していたのです。
さらに、採用サイトのコミュニケーションにも課題がありました。サイトの情報が「保護者向け」の内容になっており、求職者目線で「ここで働くとどんな生活になるのか」が伝わらない構成だったのです。勤務時間の表記も「12時半出社」とだけ書かれていて、退勤時間が不明瞭。「ワークライフバランスを大切に」と謳いながら、具体的な数字がないために逆に不信感を与えてしまっていました。
【施策】:採用サイトリニューアル+口コミ対策+中途・新卒の両面改善
私たちが伴走支援に入り、まず着手したのは採用サイト全体のコミュニケーション設計の見直しでした。
求職者が最も知りたいのは「この塾で自分はどんな働き方をするのか」です。理念や実績よりも先に、勤務時間・休日・キャリアパスといった「自分の生活に直結する情報」を明確に提示する構成に変更しました。
並行して口コミ対策にも取り組みました。在職中の社員へのヒアリングを実施し、労働環境の改善点を洗い出すとともに、社員に口コミの投稿を依頼する仕組みも整えています。
中途採用については、前章で触れた「異業種からの潜在層」に向けた原稿も新たに作成し、教育業界の経験者だけに頼らない採用チャネルの拡大を進めています。
【結果】:採用状況の改善に成功(伴走支援継続中)
現在も伴走支援を継続中ですが、サイトリニューアル後は応募数・応募の質ともに改善の方向に向かっています。口コミ対策も含め、短期で劇的に変わるものではありませんが、「採用の土台を整える」ことで中長期的に成果が積み上がる状態を作れているケースです。
採用成功のための媒体選定と費用の目安

「結局、どの媒体を使えばいいのか」「費用はどのくらいかかるのか」。採用を検討している方であれば、ここが最も気になるポイントではないでしょうか。この章では、学習塾の講師採用に適した媒体の考え方と、現実的な費用感を整理します。
検索連動型媒体と、塾講師専門媒体の活用
先ほどもお伝えしたとおり、今の求職者はスマホで検索して仕事を探します。この行動に対してもっとも相性がいいのが、Indeedや求人ボックスといった検索連動型の求人媒体です。
Indeedの料金体系はクリック課金型で、求人が検索結果に表示され、クリックされた分だけ費用が発生します。つまり、掲載するだけなら無料で始められる点が大きな特徴です。有料のスポンサー求人を使えば表示頻度を上げることができ、より多くの求職者にリーチできます。
ここで重要なのは、Indeedは「出して終わり」ではなく、改善しながら運用していく媒体だということです。最初の1〜2週間で「応募が来ない」と判断して掲載を止めてしまうケースが少なくありませんが、これは非常にもったいない。ターゲットの訴求ポイントを調整したり、競合と見比べて差別化ポイントを見直したりすることで、応募率は段階的に改善できます。
正社員の場合、初期の応募単価はどうしても高めになりがちです。しかし、原稿改善と運用を続けることで応募単価を下げていくのがIndeed活用の基本戦略です。私たちの支援実績でも、正社員採用の応募単価を初期の想定から大幅に改善できたケースは少なくありません。
求人ボックスも検索連動型の媒体で、クリック単価がIndeedより低い傾向があるため、コストパフォーマンスの面では特に注目に値する選択肢です。IndeedとIndeed以外の媒体を組み合わせて運用することで、リスクを分散しながら応募の母数を確保していく考え方をおすすめしています。
なお、塾講師の採用に特化した専門媒体として「塾講師ステーション」や「塾講師JAPAN」といったサービスも存在します。
塾講師ステーションは応募者の半数以上が偏差値61以上の大学に所属・出身とされており、質の高い講師を狙いたい場合に有効です。塾講師JAPANは掲載求人数が業界最大規模で、幅広い層にリーチできます。Indeedや求人ボックスが「検索行動からの流入」を狙う媒体であるのに対し、これらは「塾講師として働きたい」と決めている層が集まる媒体なので、併用することで応募の入り口を広げることができます。
もうひとつ意識しておきたいのが、塾業界特有の採用タイミングです。学習塾の繁忙期は夏期講習(7〜8月)、冬期講習(12〜1月)、そして新年度の立ち上がり(3〜4月)に集中します。繁忙期に入ってから慌てて募集をかけても間に合わないため、各講習の1〜2ヶ月前には求人を出しておくのが現実的なスケジュールです。
求人媒体の料金体系を理解する
求人媒体の料金体系は、大きく「掲載型」「クリック課金型」「成果報酬型」の3つに分かれます。それぞれの特徴と費用感を整理しておきましょう。
【掲載型】は、一定期間の掲載に対して固定費用がかかる形式です。タウンワークや求人情報誌がこれに該当します。費用は媒体やプランによって数万円〜数十万円と幅がありますが、掲載期間中に応募がゼロでも費用が発生する点がリスクです。一方で、複数名を採用できれば1人あたりの採用単価は下がるため、大量募集の場合にはメリットがあります。
【クリック課金型】は、求人がクリックされるたびに費用が発生する形式です。Indeedや求人ボックスがこれに該当します。掲載自体は無料で始められ、予算に応じて表示頻度をコントロールできる柔軟さがあります。ただし、クリックされても応募につながらなければ費用だけがかかるため、求人の中身の質が費用対効果を左右します。
【成果報酬型】は、応募や採用が発生した時点で費用がかかる形式です。応募課金型は1件あたり数千円〜数万円、採用課金型はアルバイトで1名あたり数万円〜、正社員では人材紹介経由で年収の30〜40%程度が目安になるケースもあります。成果が出なければ費用がかからないため無駄は少ないですが、1名あたりの単価が高くなりがちな点には注意が必要です。
以下の表にも整理したので、ご確認ください。
| 掲載型 | クリック課金型 | 成果報酬型 | |
|---|---|---|---|
| 代表的な媒体 | タウンワーク、求人情報誌 | Indeed、求人ボックス | しゅふJOB、マイベストジョブ等 |
| 費用の発生タイミング | 掲載期間に対して固定 | クリックされた時点 | 応募または採用が発生した時点 |
| 費用の目安 | 数万円〜数十万円/掲載 | クリック単価数十円〜数百円 | 応募課金:数千円〜数万円/件、採用課金:数万円〜/名 |
| メリット | 複数名採用で単価が下がる | 無料で始められ、予算調整が柔軟 | 成果が出なければ費用ゼロ |
| リスク | 応募ゼロでも費用が発生 | 応募につながらないクリックにも課金 | 1名あたりの単価が高くなりがち |
採用サイト(HP)を作り込まないと媒体投資が無駄になる
もうひとつ、媒体選定と合わせて押さえておきたいのが、自社の採用サイト(ホームページ)の作り込みです。
Indeedや求人ボックスで求人を見つけた求職者の多くは、応募する前に「この会社、どんなところだろう」と自社のホームページを確認します。つまり、求人媒体はあくまで「入り口」であり、応募の最終判断は採用サイトで行われているケースが非常に多いのです。
ここで問題になるのが、採用サイトが求職者向けに設計されていないケースです。私たちが支援に入った学習塾でも、サイトの情報が「生徒・保護者向け」の内容になっていて、求職者が知りたい情報(勤務時間・職場の雰囲気・キャリアパスなど)がほとんど見当たらないということがありました。
求職者が採用サイトで確認したいのは、「どんな会社か」「どんな環境か」「どんなメンバーがいるか」「何をやるのか」「どこに向かっているのか」の5つです。この情報が採用サイト上で明確に伝わっていなければ、Indeedでいくらクリックを集めても、応募にはつながりません。
また、求人媒体と採用サイトで発信しているメッセージに一貫性がないと、求職者は違和感を覚えて離脱します。媒体・採用サイト・SNSのすべてで、同じメッセージが一貫して伝わっている状態を作ることが、応募率を最大化するための条件です。
採用サイトの改善は、一度やれば長期間にわたって効果を発揮します。媒体の広告費は毎月かかりますが、採用サイトは一度しっかり作り込めば、その後の採用でもずっと使い続けられます。媒体選定と費用を検討する際には、採用サイトの状態も合わせて見直すことをおすすめします。
▶ こちらも合わせてご確認ください:採用サイトを成功に導くポイント
「安く済ませようとして失敗する」よくあるパターン
費用の話をすると、「できるだけ安く採用したい」という相談をよくいただきます。その気持ちは十分に理解できますが、正直な話、採用費用を削ることが目的になってしまうと、かえって損失が大きくなるケースが少なくありません。
よくある失敗パターンはこうです。
「予算を抑えたいから、まずは無料プランで様子を見よう」→ 表示回数が少なく応募が来ない → 「やっぱりIndeedは効果がない」と判断して掲載を止める → 結局、数ヶ月間採用できないまま時間だけが過ぎる
この間に発生している「見えないコスト」は想像以上に大きいです。
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講師が足りないことによる既存社員への負担増
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負担増による離職リスクの上昇
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授業の質やサービスの低下
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生徒や保護者の満足度低下、退塾リスク
「採用できなかった場合の損失」まで含めてコストを計算する視点が必要です。月数万円の広告費を惜しんで講師が1人採用できなかった場合、その影響は数ヶ月にわたって塾全体の運営に波及します。
採用費用は「コスト」ではなく「投資」です。適切な原稿を作り、適切な媒体で運用すれば、投じた費用に対して十分なリターンが返ってきます。
採用できても辞める…定着率を上げるために採用時にできること

ここまで、採用の戦略・事例・媒体と費用について解説してきました。しかし、せっかく採用した講師がすぐに辞めてしまっては、投じた費用も労力もすべて無駄になります。この章では、採用と表裏一体の関係にある「定着」について、採用時にできる対策を整理します。
塾講師が辞める本当の理由と、採用時にできる対策
退職した社員が口コミに不満を書けば、次の採用にまで影響します。定着の問題は、採用の問題と地続きなのです。では、そもそも塾講師はなぜ辞めるのか。
学習塾には、他の業種にはない独特の繁忙期があります。夏期講習(7〜8月)は通常の2〜3倍の授業コマを抱えることも珍しくなく、冬期講習(12〜1月)は入試直前の追い込みで精神的な負荷も高くなります。この繁忙期の負担が定着率に直結しているのが、塾業界の現実です。
私たちが支援先の予備校で実施した求職者ヒアリングでも、退職理由にはこうした塾特有の事情が色濃く表れていました。
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夜型勤務・土日祝の不規則な休みが生活リズムに合わなかった
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夏期講習などの繁忙期の長時間勤務で疲弊した
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将来のキャリアに活かしにくいスキルだと感じた
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現場の声が会社に反映されないと感じた
注目すべきは、これらの退職理由の多くが入社前に正直に伝えていれば、ミスマッチを防げた可能性があるものだという点です。
たとえば、夜型勤務は塾業界の構造上避けられません。しかし、求人原稿や面接の段階で「勤務は13時〜22時が基本です。朝はゆっくりできますが、帰宅は23時頃になることもあります」と具体的に伝えておけば、それを理解した上で入社する人が増えます。逆に、「ワークライフバランスを重視」とだけ書いて具体的な数字を出さなければ、入社後に「聞いていた話と違う」となり、短期離職につながります。
採用時のコミュニケーションで嘘をつかないこと、都合の悪い情報も正直に出すことが、結果的に定着率を上げる最も確実な方法です。そしてその正直なコミュニケーションが口コミにも反映され、「入社前に聞いていた通りだった」というポジティブな評価につながっていきます。
入社後の離職を防ぐ受け入れ準備
採用時の期待値調整に加えて、入社後の受け入れ体制も定着率に大きく影響します。
先ほどの退職理由の中に「将来のキャリアに活かしにくい」「現場の声が反映されない」というものがありました。これらは勤務時間や給与と違って、求人原稿だけでは解決できない問題です。しかし、入社後の早い段階でケアする仕組みがあるかないかで、離職リスクは大きく変わります。
具体的には、以下のような取り組みが有効です。
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入社後1〜3ヶ月の間に定期的な面談を設け、不安や不満を早期にキャッチする
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教室長や先輩講師が相談役として明確にアサインされている状態を作る
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「塾講師としてのキャリアがその後どう活きるか」を具体的に示す(マネジメント経験・教育スキル・コミュニケーション力など)
これらは大掛かりな制度改革ではなく、今ある体制の中で意識的に「仕組み化」するだけで実行できるものがほとんどです。
採用にかけたコストを無駄にしないためにも、「採って終わり」ではなく「採用と定着はセットで設計する」という視点を持つことが、結果的に採用コスト全体の最適化につながります。
まとめ:塾講師採用を成功させるために今日からできること
最後に、この記事の要点を整理します。学習塾の講師採用が難しくなっている背景には、教員志望者の減少・大学生の働き方の多様化・塾業界の競争激化という3つの根本的な要因がありました。そして、この厳しい市場の中で成果を出すためのポイントは、媒体選びではなく原稿の質と、採用全体の設計にあります。
改めて、今日から取り組めるアクションを整理します。
アルバイト講師の採用
・ターゲット(大学名・学部など)を絞った原稿を作成する
・求職者の不安を先に受け取り、それに答えるコミュニケーション設計にする
・Indeed・求人ボックスで競合の原稿を確認し、差別化ポイントを明確にする
正社員(教室長)の採用
・同業からの転職だけに頼らず、異業種の潜在層に向けた原稿を用意する
・夜型勤務のデメリットをメリットに転換する訴求を設計する
・口コミサイトの現状を把握し、改善に着手する
採用の土台づくり
・採用サイトが「求職者目線」で作り込まれているか見直す
・媒体・採用サイト・SNSで発信するメッセージの一貫性を確認する
・採用と定着をセットで考え、入社前の期待値調整と入社後のフォロー体制を仕組み化する
「何から手をつければいいかわからない」「自社だけでは原稿の改善が難しい」という場合は、採用支援のプロに相談するのもひとつの方法です。私たちスリーカウントでは、Indeed・求人ボックスの公式代理店として、求人原稿の作成から媒体運用、採用サイトの制作まで一気通貫でサポートしています。
また現在、月3社限定で30分の無料コンサルティングを実施しています。「まずは自社の採用課題を整理したい」という段階でも構いませんので、お気軽にお問い合わせください。
また、学習塾の集客についてもお悩みの方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
▶ 学習塾の集客方法12選|オンライン×オフラインで成果の出る実践ポイントと注意点を徹底解説

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