
求人媒体に費用をかけているのに応募が増えない。採用サイトやSNSも見直したいけれど、何から手を付ければよいのか分からない。限られた時間と予算で採用を進める中小企業の担当者にとって、施策の優先順位は悩ましい問題だと思います。
応募が増えない背景には、求人が届く相手とのずれや、仕事内容の伝わりにくさなど、異なる問題があります。さらに応募後の対応で止まっている場合もあり、どの段階の問題かが分からないと、次の施策も選びにくくなります。
この記事では、採用マーケティングの考え方を使って、自社が次に何を変えるかを決められるようにお伝えします。募集の実態と社員の声から改善を進めた事例も、判断の参考にしていただければと思います。
【この記事で分かること】
・採用マーケティングの全体像と、採用広報などとの違い
・応募が増えない原因を整理し、募集を見直す進め方
・求人媒体・採用サイト・SNSなどの手法の選び方
・求職者への伝え方を変えた実例と、中小企業で始める際の注意点
業種ごとの具体策を探している方には、各章から製造業・介護・学習塾・ドライバー・運送業・タクシーの記事も案内しています。
この記事を書いているスリーカウントについて
私たちスリーカウント株式会社は、静岡・浜松を拠点に全国のお客様の集客・採用を支援するWEBマーケティングの会社です。これまで700社以上の支援に携わってきました。
採用の領域では、Indeed認定ブロンズパートナー、求人ボックスのダブルスターパートナーとして、求人原稿の作成や媒体の運用、採用サイトの改善をご支援しています。また、スタンバイともパートナー契約を結んでいます。
本記事では、こうした支援で得た知見をもとに、採用する側が次の行動を決められるようにお伝えします。まずは、採用マーケティングで何を考えるのか、全体像から見ていきましょう。
採用マーケティングとは?応募から入社につなげる全体像

採用マーケティングとは、求職者の考えや行動を理解し、自社を知ってもらうところから応募・入社につながるまでの働きかけを考える取り組みです。商品を届ける際に、お客様が何を求め、何と比較して選ぶのかを考えるのと同じように、採用でも「どんな人が、何を確かめて、この会社で働きたいと思うのか」から考えます。
大まかな流れは、会社や仕事を知る→興味を持って比較する→応募する→選考を経て入社するです。今すぐ仕事を探している人だけでなく、将来の転職を考える人との接点も含みます。新卒・中途のどちらにも使える考え方です。本記事では、中小企業の中途採用を中心に、実際の進め方をお伝えします。
求人広告・採用広報・採用ブランディングとの違い
採用の話には似た言葉がいくつも出てきますが、別々の取り組みを増やす必要はありません。何を担うものかで整理すると分かりやすくなります。
| 言葉 | 主な役割 |
|---|---|
| 採用マーケティング | 求職者を理解し、接点・伝える内容・応募後の対応をつなげて、採用活動を改善する |
| 求人広告 | 募集する仕事を求職者へ届け、応募のきっかけをつくる |
| 採用広報 | 仕事や社員、職場について発信し、会社への理解を深めてもらう |
| 採用ブランディング | 働く場所としての自社の特徴や価値を伝え、どのような会社として選ばれたいかを明確にする |
求人広告や採用広報は、採用マーケティングを進める中で活用する手段です。たとえば、求人広告で会社を知った人が、採用ページや社員の発信を読み、応募するかを判断します。私たちが大切にしているのは、このつながりです。媒体ごとの出来栄えだけを見ても、求職者が途中で迷っていれば、応募まで進んでもらえません。
また、入社まで進めば終わりというわけでもありません。募集時に伝えた働き方と入社後の実態に違いがあれば、次の募集で伝える内容や、受け入れ方の見直しに戻ることが必要です。
なぜ必要なのか。期待できる効果と継続の負担
求職者は、仕事内容や働き方をほかの会社と比べて応募を決めます。募集条件を掲載するだけでなく、何を重視して選ぶ人なのか、その人に自社の仕事がどう伝わるかまで考えることで、届ける情報や手法を選びやすくなります。これが採用マーケティングを取り入れる意味です。
リクルートワークス研究所の調査では、2025年度下半期に中途採用を実施した従業員5〜299人の企業1,618社のうち、51.9%が必要な人数を確保できなかったと回答しています。中途採用全体の確保状況は前年から改善している一方、この規模でも半数を超える企業が未充足という状況です。
(出典:リクルートワークス研究所「中途採用実態調査(2025年度実績、正規社員)」(PDF)。中途採用を中断した企業は集計対象に含みません。)
こうした採用環境で、中小企業が今から取り組めることもあります。募集する仕事を見つけてもらい、仕事内容や働く人の様子を伝え、応募を迷わせている点を減らすことです。知名度を一気に上げるのは難しくても、自社が何を伝えるかは変えられます。
こうして求める人との接点を増やし、自社を理解して応募してもらえれば、応募数だけでなくミスマッチや採用費の使い方も見直しやすくなります。一方で、社員への取材、原稿の更新、結果の振り返りには時間がかかります。無料のSNS投稿でも社内の仕事は発生するため、採用費を考えるときには、その手間も含めて見ておきたいところです。
応募が来ない・採用につながらない原因を3段階で見る

応募が来ない原因を探すとき、私たちは応募後まで含めて、いまの募集がどこまで進んでいるかを見ます。そもそも求人を見られていない会社と、応募はあるのに面接へ進まない会社では、必要な仕事が違うからです。
正直な話、ここを分けずに施策を足しても、すでに問題のない部分へ予算を使うことになりかねません。次の3段階で数字が分かる部分と、まだ分からない部分を並べると、どこへ手を付けるべきかが見えてきます。印象だけでは分かりにくい、応募の前後のつながりを見るために使ってください。
見られていない・応募されない・採用につながらないを分ける
| 募集の状態 | 確かめること | 最初に取り組むこと |
|---|---|---|
| 求人を見られていない | 求人が掲載されているか、募集する職種や地域で見つかるか、閲覧があるか | 掲載状態や求人タイトル、使っている媒体と募集対象の関係を確認する |
| 見られているが応募されない | 仕事内容や勤務条件が分かるか、応募方法が見つかるか | 求職者の不安に答える情報と、応募へ進むまでの動きを確認する |
| 応募はあるが採用につながらない | 連絡・面接・採用判断のどこで止まっているか | 未返信や日程未確定の応募を確認し、求める人材とのずれも確かめる |
「応募が少ない」という結果だけで、原因まで決めないことがポイントです。応募率が低いなら原稿や採用ページを見直す価値がありますが、閲覧そのものが少なければ、見つけてもらう方法も必要です。応募後の連絡が止まっている場合には、まず選考を進める仕事に手を付けます。
掲載があるかは媒体や検索画面で、応募後にどこで止まっているかは応募者の対応記録で確認できます。数値の高低を判断するときも、違う職種の平均だけで決めず、過去の同じ募集や、条件が近い募集と比べてみてください。
採用人数の式は、分母をそろえて使う
応募前後のつながりを数字で見る場合は、次のように分けられます。
採用人数=アクセス数×応募率×採用率
ここでアクセス数は募集ページへの訪問数、応募率はその訪問から生じた応募数の割合、採用率はその応募から採用に至った割合とします。検索画面での表示回数と、ページへの訪問数は別の数字です。
たとえば、同じ募集への1,000件の訪問から10件の応募があり、その応募から2名を採用したと仮定します。応募率は1%、採用率は20%なので、「1,000×1%×20%=2名」となります。これは計算の説明で、平均値や自社の実績ではありません。
この式を使うには、訪問・応募・採用の対象をそろえることが前提です。今月の訪問数と、先月以前の応募から決まった今月の採用人数をそのまま掛け合わせても、改善箇所は分かりません。応募した人がその後どうなったかを追い、選考中の人がいる場合は、その状態も残しておきましょう。
採用マーケティングの進め方。自社の募集を5ステップで見直す

課題が見えてきたら、求職者に何を届け、誰が実行し、何を見て改善するかを決めていきます。ここでは、募集を見直す作業を5つに整理しました。これは特別なツールの導入手順ではなく、社内で確認したことを実際の採用活動へつなげる進め方です。
採用を兼務していると、複数の職種や媒体をまとめて変えるのは難しいと思います。そこでおすすめしたいのが、人材が必要な職種を一つ選び、その募集で試す方法です。立派な計画書を完成させるより、採用の目標と現状を同じ紙に書き出し、実際に動かすところまで進めてほしいと思います。
ステップ1:目標と現在の応募・採用状況を整理する
最初に決めるのは、「どの仕事を担う人が、いつまでに、何人必要か」です。職種名だけでなく、入社後に任せたい仕事まで現場と話しておくと、募集する相手が具体的になります。
そのうえで、いま使っている媒体、募集ページ、費用、応募数、面接に進んだ数、採用人数を、分かる範囲で並べます。求人を見た人が少ないのか、応募後に進んでいないのかを、前の章の3段階に当てはめてみましょう。
記録がない場合は、数字を推測で埋めず、媒体のレポートや応募メールからたどれるものを集めます。その間にも、自社の募集を開いて、古い条件や使えない応募先が残っていないかは見ておけます。
▶ 自社の求人が複数の場所に出ている場合は、洗い出しから始めた実例が参考になります。タクシードライバーの採用成功事例
ステップ2:採りたい人と競合の条件を確かめる
次に、どのような経験やスキルを持ち、どのような働き方を求める人に来てほしいかを考えます。その人物像を具体的にするのが「採用ペルソナ」です。
ここで理想の条件を思いつくままに足しても、実際に募集へ応じる人が見つかるとは限りません。現場が求める能力と、入社後に教えられることを分け、すでに活躍している社員にも入社までの経緯を聞いてみることをおすすめします。
あわせて、その人が比較しそうな他社の求人も見ます。同じ地域・職種で、仕事内容、給与、勤務時間、休日、経験の要否を並べると、自社がどの条件で比較されるかが分かります。たとえば事務職を探す人なら、別の業種の会社も候補になり得ます。求人の比較相手が、取引先を取り合う営業上の競合と同じとは限らないのは、そのためです。
このように、求職者・採用競合・自社の3つから考える際に使えるのが、「3C分析」というフレームワーク(考えを整理する枠組み)です。名前を覚えることより、求職者が求めていることに対し、自社は何を提供できるかを具体的にすることが大切です。
ステップ3:社員の声から、伝える内容を決める
自社の特徴が見えてきたら、それを求職者が知りたい情報へ変えます。社長や人事担当者が魅力だと思っていることと、社員が入社を決めた理由は、同じでしょうか。
確認したいのは、応募前に迷ったこと、入社を決めた理由、実際に働いて感じたことです。社員への取材やアンケートで「待遇がよかった」という回答が出たとしても、それが給与なのか勤務時間なのかで、伝える情報は変わります。短い宣伝文句に変える前に、何を指しているのかを掘り下げてみてください。
回答は、今の募集内容と照らし合わせます。たとえば、社員が入社当時に魅力を感じた働き方が、現在も同じとは限りません。今も伝えられる事実を原稿の材料にし、文章だけでは分かりにくい内容には、どんな場面の写真を添えるかを考えます。
ステップ4:接点と担当を決めて実行する
伝える材料ができたら、どこで知ってもらい、どこで詳しく確認してもらうかを決めます。たとえば求人媒体で仕事を見つけ、採用ページで勤務条件を読み、社員の写真を見て応募する、という流れです。
求職者が応募・入社に至るまでに何を考え、どのように判断するかを整理する考え方を「キャンディデートジャーニー」と呼びます。最初は大きな図を作らなくても、「見つける場所/知りたいこと/用意する情報」を書き出すだけで、足りないものが見えてきます。
その流れに沿って、実際にスマートフォンで自社の求人を開いてみてください。「応募しようと思ったのに、ボタンが見つからない!」という状態では、人を集めても先に進んでもらえません。給与の説明が媒体と採用ページで違わないか、写真を見て仕事を想像できるかも、求職者になったつもりで見ていきます。
直すことが決まったら、作業する人と、反映内容を見る日を決めて公開へ進めます。以下は、今回の作業を整理するための記入例です。
| 項目 | 記入する内容の例 |
|---|---|
| 対象の募集 | 製造スタッフの中途採用 |
| 目標 | 必要な人数と、社内で決めた入社希望日 |
| いまの課題 | 求人は見られているが、応募が少ない |
| 今回変えること | 未経験者が仕事を覚えるまでの説明と写真を追加する |
| 担当・実施日 | 現場への取材と原稿修正を受け持つ人、反映内容を見る日 |
| 結果の見方 | 同じ募集の閲覧と応募の推移、応募者から受けた質問 |
この例では応募前の情報を変えていますが、閲覧がない募集や、応募者への連絡が滞っている募集では、取り組む仕事も変わります。表を埋めることを目的にせず、自社で必要な一手に置き換えて使ってください。
ステップ5:応募後まで追い、次の改善を決める
公開後は、いつ、どの募集の何を変更したかを残し、閲覧・応募・面接・採用の動きを追います。段階ごとの数や割合で見る「採用ファネル」の考え方を使うと、次に見直す場所を絞りやすくなります。
応募が増えても、求めていた経験と合わない人ばかりなら、条件の伝わり方に目を向けます。応募した人が面接へ進めない場合は、連絡や日程調整で止まっていないかを見ます。数字に加えて、応募者から受けた質問も原稿改善の材料になります。
ただ、応募が数件しかない段階で、率の上下だけを見て施策を次々に替えると、何が影響したのか分かりにくくなります。件数と募集期間、変更内容を一緒に見て、次に確かめることを決めましょう。良い反応があった募集は、その人が何を見て応募したかまで聞けると、ほかの募集にも使える知見になります。
主な採用手法の選び方。何を増やしたいかで使い分ける

ここまでの手順を進めると、採用マーケティングで使う手法のうち、「いまの募集にはどれが合うか」を考えやすくなります。知ってもらう機会を増やしたいのか、比較している人に仕事を理解してほしいのかによって、選ぶ方法は変わるためです。
SNSや動画など、使える手法が増えるほど、全部に取り組まなければならないように感じるかもしれません。しかし、すでに閲覧されている求人に必要な説明がないなら、新しい発信先を増やしても、その問題は残ります。手法は、名前の新しさではなく、今の課題に使えるかで選ぶ。これが私たちの考えです。
求人媒体・採用サイト・SNS・検索広告を目的で選ぶ
主な手法の役割を、次のように整理できます。同じ手法でも、募集内容や使い方によって役割は変わるので、自社の求職者との接点を考えるための目安として見てください。
| 手法 | 主な役割 | 選ぶときに確かめること |
|---|---|---|
| Indeed・求人ボックスなどの求人媒体 | 仕事を探している人に募集を見つけてもらう | 職種・地域・条件が伝わり、応募を判断できる求人になっているか |
| 採用サイト・採用ブログ | 仕事内容や職場、社員について詳しく伝える | 求人から来た人の疑問に答えられるか。求人媒体への掲載方法と応募先が決まっているか |
| SNS・動画 | 職場の様子を知ってもらい、会社への関心や理解を深める | 誰に何を見せるかが決まり、掲載内容を維持できるか |
| 検索広告 | 職種や勤務地を検索する人に、採用ページを案内する | 関連する検索があり、広告の先に募集を判断できるページがあるか |
| スカウト | 条件が合う候補者へ企業から働きかける | なぜその人に声をかけるのかを伝えられるか |
| 社員紹介・採用イベント | 人を通じた接点や対話の機会をつくる | 募集内容を共有し、紹介や参加の後の対応まで進められるか |
私たちがWEBでの採用支援を行う際も、媒体の名前だけで決めず、求人原稿と採用ページ、配信後の反応をあわせて見ます。媒体を替えることと、同じ媒体で内容や運用を改善することのどちらが必要なのかを分けて考えるためです。
▶ Indeedの配信や指標を見ながら改善したい方は、こちらで具体策をご確認ください。Indeedの運用方法と改善策
▶ 求人ボックスを利用している方は、求人票と運用の見直し方をまとめています。求人ボックスの運用で応募を増やす方法
▶ Googleなどの検索広告を採用に加えたい方は、費用と準備をこちらで整理できます。求人リスティング広告の仕組みと応募につなげる方法
求人から採用ページ・SNSへ、情報をつなげる
求人を見た人が、すぐに応募するとは限りません。会社の採用ページを読み、SNSで社員の様子を見たり、口コミを確かめたりしてから判断することもあります。自社名で検索し、Googleマップの口コミなど、求人原稿の外にどんな情報が見えるかも読んでみてください。
そのとき、求人原稿では「未経験歓迎」と書いてあるのに、採用ページには経験者向けの説明しかないと、未経験の人は自分が応募してよいか迷います。この場合は、求人の案内先にも未経験の人が判断できる情報をそろえます。
Instagramも、投稿を広く見てもらう使い方に加えて、会社に興味を持った人が職場を確認する場として活用できます。フォロワー数を増やすことだけに追われず、求人を見た人に何を知ってもらいたいかから考えてみてください。
▶ Instagramで求人の発信を始めたい方は、投稿の使い分けと手順をこちらで確認できます。インスタでの求人の出し方
▶ すでに発信しているものの応募につながらない方は、プロフィールや求人からの案内を見直す方法をご覧ください。インスタ求人の効果を高める方法
採用サイトを新しく作るかどうかも、必要な情報を届けられるかで判断できます。
▶ 製造業の会社で、採用サイトを作り直す前に見直すことはこちらで解説しています。製造業の求人に応募が来ない3つの原因と、採用サイトを作り直す前に見直すこと
応募率を上げるための求職者理解。興味・比較から応募につなげる

前の章では、求人媒体・採用サイト・SNSなど、求職者との接点をどう選ぶかを整理しました。ここからは、その接点で「何を伝えるか」の話です。企業が求職者の不安や重視することを理解し、それを求人原稿・採用ページ・SNSの内容に反映していきます。
求職者理解は採用活動全体に関わりますが、この章で主に扱うのは、冒頭で示した興味を持って比較する→応募するの部分です。進め方のステップ2・3で整理した人物像や社員の声をもとに、何を伝えれば応募を判断できるかを考え、読む人に伝わる説明や写真へ変えていきましょう。
業界への不安と、自社の実際の働き方を並べる
求職者が不安を感じているのは、会社のことだけとは限りません。製造業を初めて検討する人なら「職場は汚れていないだろうか」、運送業なら「長距離の運転で家に帰れないのでは」と、業界や職種のイメージが判断に影響することもあります。
ここで、会社の沿革や理念だけを説明しても、不安への答えにはなりません。実際の作業場を写真で見せる、担当する配送地域や一日の動きを説明するなど、その人が気にしていることに答える情報を出しましょう。
条件の伝え方も同じです。たとえば給与が競合より低いとき、会社としては給与に触れず、やりがいだけを前に出したくなるかもしれません。ただ、それでは、給与を重視する求職者の比較の候補に残れません。必要なのは条件を隠すことではなく、給与に加えて、勤務時間、残業、休日、仕事内容を一緒に示し、その条件でどんな働き方ができるかを伝えることです。
ただし、実際には長時間の残業があるのに、文章だけで負担が軽いように見せるのは違います。伝え方で解消できる誤解と、働く条件そのものの見直しが必要な問題を分けることが大切です。入社してから「聞いていた話と違う」となれば、せっかくの採用も続きません。
▶ 運送業で経験者と未経験者に伝える内容を分ける方法は、こちらで詳しく説明しています。運送業の採用サイト制作で応募を増やす方法
伝えたつもりをなくす。言葉・写真・順番を見直す
会社を知っている人には分かる文章でも、初めて見る求職者には伝わらないことがあります。会社、仕事、働く環境、一緒に働く人、入社後の将来という情報が載っているかに加えて、その中身を具体的に想像できるかも考えます。
まずは、仕事内容を説明する言葉が、募集する相手にも分かるかを見てください。社内では通じる言葉でも、未経験の人には説明が必要な場合があります。社員や職場の写真にも、誰が何をしている場面なのかを添えると、働く様子を想像する助けになります。
また、情報を出す順番にも理由が必要です。勤務時間を気にしている人に、会社の将来像ばかりを先に読んでもらうのは難しいでしょう。その募集で最初に答えたい疑問に、読者が早くたどり着ける順番になっているかを見直します。
AIは、集めた情報の整理や原稿のたたき台づくりに役立ちます。ただ、自社の仕事内容や社員の本音は、こちらから材料を渡さなければ反映されません。出てきた文章に事実と違う条件や、実際にはない研修制度などが加わっていないか、現場を知る人が確認するところまでを仕事に含めてください。
▶ 求職者が仕事内容を理解できるページへ直したい方は、掲載内容と見せ方をこちらで確認できます。応募が来る求人サイトの作り方
▶ 製造業の募集で、社員への質問から原稿へ落とし込みたい方はこちらをご覧ください。応募が来る製造業の求人原稿の書き方
▶ AIを使って原稿の土台を作るための考え方とプロンプトは、こちらの資料にまとめています。AIを徹底攻略して応募率を変える求人原稿の作り方
採用マーケティングの成功事例。何を変えて応募を増やしたか

手法や原稿の考え方が分かったら、実際の支援では何を調べ、どのように変更したのかを見てみましょう。成功事例で参考にしていただきたいのは、応募数の大きさだけではありません。採用する職種や募集人数が違えば、必要な応募数も変わります。
ここでは、社員の声から伝える内容を見直した製造業の事例を中心に紹介します。後半には規模の異なる企業の支援例も載せていますが、数字を自社の目標へそのまま置き換えるのではなく、自社でも確認できることがないか、という視点で読んでみてください。
製造業:社員の声から応募前の不安に答えた
ある製造業の企業様では、求人媒体や転職イベントを活用しながら採用活動を進めていました。業務拡大に伴って各部署で人材が必要となり、AIも使って原稿を作成していましたが、採用したい人材と応募者とのずれが課題になっていました。
そこで行ったのが、全社員への匿名アンケートと、役員・現場社員への取材です。いま働いている社員も、入社前には求職者でした。なぜ応募したのか、何が入社の決め手だったのか、応募する前にどんな不安があったのかを確認しました。
そこから、新社長になって会社の雰囲気が良くなったことや、自分が携わる製品が全国で使われることにやりがいを感じている、といった声が出てきました。一方で、応募前には未経験で本当に大丈夫なのか、研修はどのようなものなのかという不安もあったのです。
会社の魅力だけを聞いていたら、後者の不安は見落としていたかもしれません。これから応募する人にも判断してもらえるように、こうした会社の実際を原稿へ反映しました。この企業では、1年間で4名だった応募者が、3か月で30名になりました。応募者の年齢層も、想定していた層に近づきました。
この事例で着目していただきたいのは、「社員アンケートを実施した」という作業そのものより、そこから何を原稿に使ったかです。良い回答を並べるだけでなく、応募前のためらいと入社後に感じた価値を拾ったことで、求人に載せる材料が具体的になりました。原稿をうまく書こうとする前に、まだ原稿になっていない事実を拾ってほしい。その手間が必要だと、私たちは考えています。
また、競合の条件と社員の志望動機を調べたうえで、仕事内容の実態を求人へ反映し、8名の採用につながったドライバー募集の支援例もあります。
▶ ドライバー募集の情報のずれと改善内容は、Indeedの運用記事の事例部分で詳しく紹介しています。Indeedの運用方法と改善策
▶ ドライバーの採用単価の相場と、採用が難しい理由・単価を下げる進め方を知りたい方は、こちらをご覧ください。【2026年最新】ドライバーの採用単価の相場は?採用が難しい理由と応募単価を2万円未満に抑えるポイント
業種や規模の異なる企業の支援例
ほかにも、次のような支援例があります。期間や募集職種は企業ごとに異なり、応募数と採用人数を混同しないように記載しています。
| 業種 | 支援例で確認できた変化 |
|---|---|
| 製造業・板金加工 | 3年間応募ゼロの状態から、2年間で応募者30名超、採用5名へ |
| 保育・介護 | 支援前は月650件程度だった応募が、取材時点で月平均890件へ。最高で月1,000件程度を獲得 |
| 空調設備 | 中途の応募が3年で1人ほどだった状態から、施工管理の募集で15名が応募、3名の採用へ |
| 自動車学校 | 教習指導員への応募増に加えて、通訳・広報へ募集職種を広げ、月10件程度の応募を獲得 |
事例を自社へ当てはめるときは、数字と一緒に「誰を募集したのか」「何を変えたのか」まで確認することが大切です。
自動車学校の採用を検討する方には、お客様の声の取材記事も参考になります。
▶ 表に掲載した保育・介護の事例を、業界特有の課題とあわせて読みたい方はこちらをご覧ください。介護の採用成功事例と改善の考え方
講師や教室長の募集については、アルバイトと正社員で進め方が異なるため、学習塾向けの記事もご用意しています。
▶ 募集する職種に合わせた改善を考える際にご活用ください。塾講師の人手不足を解消する方法
▶ 税理士事務所で、資格者とパートスタッフの採用を分けて考えたい方はこちらをご覧ください。税理士の人手不足、資格者とパート別の採用方法
▶ 派遣会社・人材紹介会社で、多数の求人や複数の拠点の求人広告を見直したい方はこちらをご覧ください。派遣会社の求人広告で応募を増やすには?
▶ ほかの企業の取り組みも、こちらからご覧いただけます。スリーカウントのお客様の声・導入事例
中小企業が始めるときの注意点。担当者・費用・効果の見方

実行する内容が見えてきても、「専任の担当者がいない」「予算をどこまで使ってよいか分からない」といった事情で止まることがあります。中小企業では、本業や総務の仕事と並行して採用を進める方もいらっしゃると思います。
この段階で広告や制作の見積額だけを見て決めてしまうと、社内に残る仕事や、結果が分かるまでの時間を見落としがちです。担当者・費用・効果の見方を分けて、今の会社で続けられる取り組みかを考えていきましょう。無理なく実行できるところまで決めることが、着手前には重要だと思います。
専任担当がいなくても始められる?
兼務でも、5ステップの章の記入例を使い、対象の募集と作業を絞る方法があります。担当者がその作業に使える時間も、あわせて考えてみてください。実行する仕事が具体的になれば、自社で進められる部分と、手が足りない部分も分かります。
一方、改善する内容は決まっていても作業の時間が取れない場合は、外部の支援も選択肢になります。自社で判断したいことと、実行を任せたい仕事を分けて考えると、必要な支援を選びやすくなります。
▶ 採用全体を継続して見直す支援の内容・対象条件は、こちらでご案内しています。採用WEB集客実践プログラム
▶ 原稿や媒体の運用、応募後の連絡などを外部へ任せたい方は、対応範囲と注意点をご確認ください。採用代行のメリット・デメリットと任せ方
費用はどこまで見込めばよい?
採用マーケティングに一律の料金があるわけではありません。必要な費用は、使う媒体と、原稿・写真・採用ページなどの準備、自社で対応できる仕事によって変わります。
見積もりを取るなら、広告費、制作・改修費、運用を任せる費用を分けて確認しましょう。社内で取材や更新を行う時間も必要です。「月額」の中に何が含まれ、どの作業は別料金かが分からないままでは、安いか高いかを比べられません。
まずは今回の課題を解決するために必要な作業を決め、その作業の費用を確かめる順番がおすすめです。
▶ 採用サイトの制作費や発注前の準備を考えたい方は、こちらをご覧ください。中小企業の採用サイト制作の進め方
採用サイトの作成サポートやIndeedの運用・改善を検討する場合には、私たちが提供するフエルーボも選択肢の一つです。サポート内容はプランによって異なるため、必要な支援と料金をあわせてご確認ください。
▶ サイトの作成サポートと広告運用のサービス内容は、こちらでご案内しています。フエルーボ公式サイト
効果はどのくらいで判断する?
何を変えるかによって、確認できる変化と時期は異なります。掲載内容の誤りや応募先の不具合なら、まず修正できたかを確認します。一方、仕事内容の伝え方を変えた場合は、変更後に閲覧した人から応募があるか、その応募が面接や採用へ進むかを追う必要があります。
特に、これから会社を知ってもらう活動と、すでに応募している人への対応は、同じ時間軸では判断できません。急いで採用したい募集では、SNSの発信が育つのを待つのではなく、いま接点のある候補者との連絡や、既存の求人で改善できることを優先したいところです。
知ってもらうための発信は、見た人の反応や採用ページへの訪問も途中の手がかりになります。応募済みの人については、連絡や面接が進んだかを追えます。採用が決まったかという最終結果だけで打ち切らず、それぞれの段階で起きた変化を見ることをおすすめします。
まとめ。まずは1つの募集で、次に変えることを決める
中小企業が採用マーケティングでまず取り組みたいのは、求職者の立場で自社の募集を見ることです。仕事を見つけてもらうところから応募・入社まで、どこで止まっているかが分かれば、次に手を付ける場所を決めやすくなります。
まずは採用したい職種を一つ選び、いま止まっている段階と、次に変えることを書き出してみてください。社員の声や応募者の質問を手がかりに、仕事内容と働き方がきちんと伝わる状態へ近づけていきましょう。
自社では原因を整理しきれない場合には、スリーカウントの30分無料コンサルティングをご活用ください。現在の求人原稿や採用ページ、利用している媒体と応募状況を分かる範囲でお知らせいただければ、どこから取り組むかを一緒に考えます。

この記事に「共感できた」と感じた方は
私たちと自社の課題について話してみませんか?









